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ルールの変化の潮目に、敏感になる。


いくら中高年の転職・就職状況が厳しいからといっても、「仕事に就きたい」「今の生活レベルを
維持したい」と身の回りのことだけで頭の中をいっぱいにしていると、まったく別の方向から思わぬ
衝撃がやってくる可能性に、思いがいかなくなってくる。


たとえば、あなたは自分を取り巻く社会・企業のベースとなる「ルール」(さまざまな局面での取り決めごと・暗黙ないし明示された合意を、とりあえずここでは、"ルール"と呼ぼう)が変わることで、
自分自身が影響やダメージを受ける可能性について、ここ最近、チラッとでも考えてみたことがあるだろうか?


社会を構成する側にいる政党・政治家・行政機構、民間では会社を動かす側の経営陣。

彼らは自分たちの目的達成のため、前提となるルールそのものを、自分たちに有利に変えて
しまおうと、常日頃から腐心しているものだ。


ここは間違えてはいけないところで、彼らは国民や従業員と同じ土俵の上にたって、その上で権力を使って有利な立場を強めることによって、自分たちに都合のいいように事を運ぼうとしているわけではない。


そうではなく、「ルールそのもの」を、自分たちにとってより都合がよい方向に、合法的・合理的に
変えようとするのだ。


いったんルールとなってしまえば、そのゲームの参加者は全員一律、それに従わざるを得なくなるからだ。


このルールは、政治・行政で言えば法律や通達、民間企業で言えば定款や業務運用規程の変更にあたるわけだが、現在自分たちがどっしりと乗っかって生活している土台となるルールそのものが、ガラガラと音を立てて崩れるかもしれない…などとは、普通はこれっぽっちも、考えやしない
ものである。

 

また、これまでの変化はどちらかというと、いわば「満ち潮型」であった。


ある方向からひとつの波が押し寄せても、いったんそれが反対の力で押し戻され、また攻め入ってきてまた押し返し…といったプロセスを経ながら、少しずつ最終的な方向性が固まってくるような感があった。


変化は潮が満ちるようにゆっくりとやってきて、私たちの生活を少しずつ、浸していった。


しかし今は違う。今日では、いわば「オセロゲーム型」に変わってしまった。


いったん既存メディアやインターネットにのってしまうと、一方向にものすごい加速がかかり、
あたかもオセロゲームで盤面が、白からあっというまに黒になってしまうかのように、気がついて
みるとある日を境に、状況が一変していることすら珍しくない。

 

たとえば、政治の世界。


衆院選が近いと噂されるなかで権力構図が大きく変わり、かつての小泉チルドレンと呼ばれる議員らは、すっかり所属政党である自民党からも冷遇される風向きである。

小泉元首相が衆院解散して勝利した後は、意気揚々とした表情が連日テレビに出ずっぱりだったのに、今やほとんど話が伝わってこない。


たとえば、民間企業の世界。


今年までは、「バブル期以降の超売り手市場」ともてはやされ、大学新卒は全体として、ひっぱり
だこの状況にあった。

しかし、米国のサブプライム問題に端を発した原油高、そして大幅な円高と、日本経済を牽引する輸出型企業と金融業界を中心に、すでにジワジワと業績面・財務面でのダメージを受けつつある。


さて、日本経済の橋頭堡となるこれらの産業が失速しかかっている現在、大手企業は来年も「新卒を大量採用」という社会的な”暗黙のルール”を、このまま変更せずにいられるだろうか?


もし企業が再び新卒採用枠の縮小に転じた場合、第二新卒や中高年の求職者を交えた就職活動の現場においては、どんな動きが起こってくるだろうか?


そして、たとえば生活。


私事であるが、私は住宅ローンを組んでいる。

最初の三年の固定金利期間は終わり、すでに変動金利へと移行している。


この原油高・円高基調の中、金利が大きくあがってくるタイミングは、いつになるだろうか?


背景こそ違うが、ローン支払い額が急激に上昇して自己破産した米国の多くの勤労者たちの
イメージが、脳裏にちらつく(笑)この頃である。

自分は住宅ローンの支払額の上昇前に、うまいタイミングでなんらかの防御手を打つことができるだろうか?

 

ビジネスの世界において、ルールは人為的な力によって変えられるものだ。
そのことは、頭の片隅に留めておいたほうがよい。


そしていったん変化の潮流が明確になると、その後は雪崩を打ったように、すごい勢いで全体が
塗り替えられていく。

「昨日まで目の前にあったあの世界はどうしたの?」と、いいたくなるくらいに。


もちろんあなたが経営者でもない限り、あなたの方からは、自ら潮目の変化をつくりだすことなどは、まずできないだろう。

しかしその兆候を感じ取って、自らの利となる方向を見出し、自分のために先手をうって動くことは可能なはずだ。

 

潮目が変わるときを見抜くことは難しい。
また、変化のスピードに果たしてついていけるか…ということもある。


しかしながら、日頃から視野を広く持つよう、また嗅覚をとがらせておくようにはしたいものだ。


自分の生活防衛だけに関心を寄せてしまうようになると、そういった点には、目が行かなくなって
しまいがちだ。


そして問題が目の前にはっきりと「はい、こんにちは」と現れてから、「困った、どうしよう」といって、慌てふためくことになる。


「働き口さえ見つかればよい、社会の変化など自分には関係ない」という近視眼的な考え方は、
危険なのだ。

 

転職・就職活動というプライベートな一事においても、目線を手元に固定させず、全体を幅広く見る気持ちのゆとりを持つようにしたい。


人と議論して、考えを深める。新聞を読む。講演を聴きにいく。ネットで情報収集する。

自分がこれまでの人生で関わったことのない業界の人と話してみることも、多くの気づきが
得られて有益だろう。

 

これらは、状況を劇的に解決する特効薬ではもちろんない。

しかし、体質を改善する、いわば漢方薬的な処方だ。

状況の変化に対応するためのあなた自身の力は、明らかに深まるはずだ。

 

中高年の転職・就職活動においても、とにかく目先の定職が見つかればよいのだ、という近視眼的な発想オンリーだと、予想だにしない方向からくる衝撃に対処する胆力と気力が、失われてくる。


ルールの変更が行われつつあるかもしれない…という、変化の潮目を感じ取れるセンスを、
日頃から機会あるごとに磨いておきたいものだ。

 




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