事を起こす前に、よく調べたか。
求職の現場では意外なことに、就職における求人数が求職数を上回るケースがままある。
たとえば保険代理店のコミッション制の営業員や、飲食店のウェイター・ウェイトレス、助産師などは、今日では大抵の場合、人手が恒常的に足りない職種となっている。
保険代理店の営業は、保険の普及率の飽和感がある中で新規開拓のノルマなどもあいかわらず厳しく、やはり大きくストレスがかかるからだろう。
ちなみに「ノルマが無い」として募集しているところもあるが、だからといって新規契約ゼロのままのあなたを企業側が何ヶ月も快く放置してくれるかどうか、ちょっと考えてみればすぐにわかることだ。
飲食店のアルバイトは、もっぱら即金が手にできる超短期のバイトに流れがちな若年層を定着させることがなかなかできず、補充を続けてもすぐに辞められてしまうとイタチごっこから、なかなか抜け出せないでいるようだ。いまやレストランやファミレスで結構な年配層の方から接客を受けるほうが当たり前なのは、ご存知のとおりだ。
助産師、また看護士なども同様に分類されるが、これは資格も必要であること、そして場合によっては24時間営業状態の激務となるため、よほどの使命感がないとなかなか成り手がいない。
かように求職数が求人数を上回っているような場合は、それなりに何かしらの理由・裏の背景事情があるものである。
もちろんあなたの24時間だし、あなたがそういった求職面での有利さからこういった職種に応募することで職を得るチャンスも広がるだろうから、別にあなたの応募を止めるつもりで、このような例をあげているわけではない。
短期でもどうしても仕事に就かなければならない事情があるとか、何かしら差し迫った理由がはっきりとある場合はなおさらだ。
しかし、単純な印象や選り好みのレベルで言っているのではなくて、応募する前に自分でよく調べることの必要性はやはり強調しておきたい。
あなたはその企業が出している求人広告以外に、その仕事・職種について、今とこれからの自分の状況と照らし合わせてよく調べた上で、それでもなお応募しようと考えているのだろうか?
単純に現在の不安定な状況から逃れたい一心で、マイナス点に目をつぶったり、あるいは目の前のおいしそうな求人広告のPR文につられているだけではないのか?
いま転職・就職活動をするにあたってひと昔前と決定的に異なるのは、インターネット、なかでも容易な情報収集を可能とする検索エンジンの存在だ。
目の前のパソコンを立ち上げて、Yahoo!やGoogleなどの検索エンジンのボックスに「××業 仕事内容」「××会社 評判」などとちょっと打ち込むだけで、さまざまな情報を手に入れることができる。今これを見ているということは、それをできる環境が手もとにあるということでしょう?
街中にはネットカフェだってあるし、キーボードさえポツポツ打てれば、こうやって自分で調べることはできるはず。
むろん「ネット上に有用な真実の情報が、どれほどあるのか」という問題はあるが、そんなことを言ったらあなたが見ているその企業の求人広告だって、例外ではない。
要はさまざまな情報を見比べつつ、共通しそうな「最大公約数」の情報を探り出すことだ。
今のあなたには、調べる時間だけはたっぷりあるはずだ。なのに、ろくすっぽ調べずに事にあたる人が、現実はあまりに多い。
「何でもやってみなくてはわからない、あたって砕けろ」というのは、はっきりいえば、ある種の思考停止状態になっているか、調べるのを面倒くさがっているか、あるいは本当にあたって砕けるのが好きなのだとしか思えない。
失敗は別に悪いことではないが、同じ失敗するのなら、体力と気力に満ち溢れ、失敗を吸収してエネルギーに転化できるパワーの高い、若いうちになるべく済ませておくべきであった。
40代・50代ともなってきたなら、失敗が事前に回避できるなら回避するに越したことはない、と思う。
そもそもそれくらいの知恵を働かせられるようになっていないと、これまで年輪を重ねてきた甲斐が無いというものでしょう。
ということで、もう一度最後に強調しておきたい。事を起こす前に、自分自身で、よく調べることだ。
中高年として転職・就職活動をするあなたにとって、調べるプロセスをはしょることで失うものは結構たくさんあるし、逆にそうすることで危険を回避できる可能性も高まるし、そのまま応募するにしても心の準備をした上で、より賢明な判断をすることができるはずだ。
自ら時間を使って調べる手間ヒマを、惜しんではならない。
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