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「怒り」のコントロールに努める。


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昨今のメディア報道においては陰惨な事件を見聞きすることも多く、憂鬱な気持ちにならざるを得ないが、皆さんはいかがだろうか。

つまるところ、自分の中にひそむ「怒り」の感情を、他人に対する攻撃という形をとってむき出しにぶつけるような輩が目立って増えてきている、ということだろう。そしてこのような風潮は、日本社会全体で強まっているような気がする。

自らの感情における「怒り」の部分をコントロールできない人間、ないしは外の世界への暴力へと転化することで自らの「怒り」を発散し解消しようとする人間の数が、確実に増えているのだ。


中高年の転職・就職活動とは無縁な話だと、思われるだろうか?

私は、面接テクニックの習得や想定問答に精を出すよりも、自分の中の怒りの感情をコントロールするやり方を身につけることのほうが、就職活動においてはるかに有益であるような気がしてならない。

たとえば就職の最終面接で、面接官である役員や人事部長にぶしつけな、あるいは思わずカッとなるような質問を投げかけられたら?

怒り出さないまでも、自らの表情がみるみる険しくなるのを自覚するようでは、当然に面接者にも気取られることだろう。


また、転職理由などを話しているうちに自分の過去の「怒り」に通じるスイッチを自ら入れてしまって、感情が高ぶってしまい面接が台無しになってしまう場合だって、ケースとしてはありうるだろう(関連して、中途採用面接、前の会社の悪口だけは言うな。のコラムも、ついでに読んでほしい)。

面接テクニックなどはいったん就職してしまえばそれで用無しとなるが、「怒り」をコントロールするノウハウは、入社後の仕事の現場においても、あなたの家庭生活などのプライベートであっても、生涯のさまざまな場面において活きてくるはずだ。


自分の怒りの感情を、コントロールできるようになること。これは、あなたの人生における、すばらしい武器になるのだ。

「怒るな」といっているのではなく、「怒り方の習得」が必要だということだ。


ただしそのぶん、この怒りの感情をコントロールする方法は身につけることが難しい。

上手に怒れるようになるためには、意識的なトレーニングが必要なようだ。

そのためずいぶん長い間研究の対象ともされてきているし、数多くの人が苦労してこの技術を身につけようとしてきている。

正直、私などがこれについて語るのはあまりにおこがましいのだが、専門家の知見もまじえ半分は自分自身のために(笑)、怒りをコントロールする方法についていくつかのヒントを並べておこう。


専門家によれば、怒りというのは「感情のふた」なのだそうだ。

怒りという「感情のふた」を開けると、悲しみやあきらめ・淋しさといった真の感情がその下に隠れており、それが露わになるのを防ぐために、我々は怒るらしい。

そして「怒り」には「瞬間的」なものと、「持続的」なものの二種類がある。

「瞬間的な怒り」ならば、「怒るのを、とりあえず深呼吸して、心の中で数字を10まで数えてからにする」というルールをつくるだけでも、ずいぶん収まるものだ。

「1、2、3、…」とゆっくり数えているうちに、怒りを爆発させたいる気分がわずかながらトーンダウンしてくるし、10まで数えた後にあらためて怒るにしても多少は自分を取り戻し、もっとやわらかいものの言い方に改めることだってできるようになる。


なお自分が「瞬間的な怒り」にとらわれていると感じるときは、インターネットは見ないほうがよい。完全に感情が安定するまで、PCやスマホからは離れてしまうことをオススメする。

科学的説明まではできないが、モニターやスマホの画面をあまりにも長時間見つめていると、とりわけネガティブな感情がだんだんと増幅される作用があるように思えてならない。

見えないスクリーンの向こう側の相手に感情をそのままぶつける「ネットいじめ」は、とりわけ感情のコントロールに思いが至らない子供の世界において残酷なまでリアルに表れることは、皆さんご存知のとおりである。


ということで、「なんかムカつく!」という気分のときには外に散歩に出たり、軽い運動をしたり、何かおいしいものを食べにいったりすることをおススメしたい。

他にも「瞬間的な怒り」の解消方法については、いろいろとアイデアが出されているようだ。試してみて、自分にあっていると感じるものを、長く採用するようにするのがよいだろう。

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さてもうひとつ、「瞬間的な怒り」よりもずっと取扱いがやっかいなものに「持続的な怒り」がある。

こちらは自分が育った環境や現在置かれている環境の影響も大きく、また長い年月にわたって形成されてきているぶん抑圧度も高くて、コントロールに苦労する面があるようだ。


転職・就職という面でいえば、とりわけ中高年の転職者は何度も面接でNGを出されているうちに自己否定されたような気分にならないほうがおかしく、その状態が続くうちに社会に対する言いようのない怒りの感情が形作られてくることは、むしろごく当然な気もする。

しかしだからといって、そのような感情の不制御をそのまま放置しておいてよいわけがない。


「持続的な怒り」を解くのは、「瞬間的な怒り」にくらべると数段難しいし、一人一人の処方せんも異なる。

興味をもたれた方は、自分で書店で専門書籍をあたるなり、セラピストの講演を聴きにいったりして、解決の方向を見出すための見識を深めてほしい。

話を振っておいて申し訳ないが、こちらのほうは簡単に解決策を提示できるような問題でもないからだ。


怒りとは、「自分という存在を過大視する」ところからもきているように思う。

自分が同じように呼吸をし、似たようなことを考えて生きている他の人々と同列の存在であることに、思いが至らない。

他人から特別な存在としての扱いを受けたい、あるいは自分で思い描くイメージどおりに自分という存在を評価してほしい、という思いが心の奥底にあると、それが実現しないときは感情がむき出しになりやすい。


このような心の動きは「自分自身を大切にする」「自分には(他の人と違った)長所だってある」という心の持ちようと実に紙一重のところに位置しているため、本人もなかなか自覚しがたいところではある。

しかしその一方で、「自分は他の人と同じ・なんら変わることのない存在である」という感覚もあわせ持っていないと、他人の人生を自分の人生に比べて軽く取り扱ったり、否定してかかるような感情が先立つ人間になってしまいかねない。これは気をつけたいところである。


世に生きる自分以外の人々を、自分と同じ存在として見る訓練を積んだなら、他人の人生を否定することによって自分の人生の正当化をはかろうとは思わなくなるはずだ。

だからこそ「自分という存在を大切にしながら」、その一方で「自分が人々の中に生きる同一線上の存在であることの自覚を持つ」ことをめざす価値があるように思う。


就職面接においては、あなたも最終的に採用になった候補者も、同一線上に並べられているジグゾーパズルの一ピースにすぎない、という見方だってできるだろう。

あなたは、たまたまあるパズルのある箇所にあわない形をした、1ピースであった。他のとある候補者は、たまたまそのパズルにフィットした。

ただし、あなたも同様に一枚のピースである以上、いつかどこかでフィットする「あなたのためのパズル」が在るはずである。


「怒り」の感情をコントロールする。できるように努める。

私も精進したい。皆さんにも、怒りの達人になることをおススメする次第である。



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