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中途採用面接、前の会社の悪口だけは言うな。


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これを読んでるあなたはすでに中高年なのだから、転職や再就職での採用面接の基本的なところは、実戦の場ですでに何度か経験済みと思う。

だから「面接の心構え」や「面接テクニック」といった基本的なことについて、いまさら細かいことをいうのも野暮だと思うし、それらについて説明している優れたホームページが他にもいっぱいあるので、「中高年 面接」とでも入力して、必要に応じ検索して調べてほしい。


実は私も人事部所属というわけではなかったが、これまでずいぶんと採用する側として、求職者を面接する機会があった(自分自身が候補者として面接に臨んだことも、もちろん何度もあったが)。

その経験上、とりわけ中高年の転職・再就職の面接では、頭でわかっていても無意識についやってしまう大きな失敗が、一つあるように思っている。

ここではその点についてだけ、強調しておきたい。

それは、「面接の場では、前の会社の悪口だけは、絶対に言ってはならない」ということだ。

そんなこと、とうに知っているって?まぁ、聞いて欲しい。


まず「なぜ前職の会社の悪口を言ってはならないか」だが、これははっきりとした理由がある。

「面接官が、自分の会社でも同じように悪口を言う人間ではないかと警戒するから」などと書いてある指南書もあるようだが。

ただ私は単純に、「第三者」である前の会社(たとえ会社という「法人」であったとしてもだ)の悪口を、当人のいない場で感情を高ぶらせて語る姿が、はっきり言って人として見苦しいからだ、と思っている。

考えてみてほしい。面接官は、あなたが悪口を言っているその前の会社の状況を、イメージすることができないのだ。


たとえば、「前の会社で、社長がいかに公私混同のとんでもない人間で、会社のためを思っていろいろ働いてきた自分を冷遇してきたか。そして理不尽にも、最後はリストラされてしまいました。」などと、面接の場をいい機会とばかりにあなたが積もるうっぷんをぶちまけたとしても、当の面接官は「あなたの前の会社がどんな雰囲気の会社で、社長がどんなに人間なのか」を、まるっきりイメージできないのだ。

一方で、語っているあなたは自分が経験してきたこととして、そのワル社長の口調やその瞬間の場面まで、ありありとリアルにイメージすることができる。


この落差が余りに大きく、しゃべってる側のフツフツと沸き立つような感情を、一候補者としてのあなたの話を聞いている面接官が感情移入したうえで肯定的に聞いてくれるということは、まず絶対に起きえないのだ。

テレビのワイドショーの事件報道を見ていて「あぁ、この被害者はカワイソウだな…」と思うことなどが、あなたもあるだろう。

あなたが前の会社がいかにひどかったかという話をするのを面接官が聞いている時の感覚は、失礼ながらその感じに似ているのではないかと思う。

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面接官が同情に値する話だと思ってくれたとしても、それは一瞬のこと。しかもはっきり言ってしまえば、しょせん他人事である。ぼんやりと想像はできても、しょせんイメージとして残るほどではない。

強く脳裏にイメージできないことは、人は忘れるもの。あなたが正しいか正しくないかは問題ではなくて、後に残るのが「会社の悪口をえんえんとまくしたてている、あなた」というネガティブなイメージだけになってしまうことが、まさに問題なのだ。

それもある意味当然で、いちいち候補者の感情に自分の波長をあわせてしまうような人物は、そもそも採用面接官の役回りなど務めやしないものだ。


しかししゃべる側としては、前の会社にたいしてネガティブな思いが強いぶん、しゃべっているうちに、感情のコントロールが効かなくなる場合が多い。

いつの間にやらかわいそうな自分を放り出した前の会社への恨みつらみのオンパレード、独演会となってしまう人がいるのだ。

しゃべっている当人は悪口を聞いてもらえてさぞスッキリすることだろうが、自分自身をアピールする時間が結果的に削られてしまうし、何人も採用面接を繰り返している側としては、「この人はなんだか悪口ばっかり言っている、見苦しい人だなぁ」というマイナスの印象だけが、最後に強く残るものなのだ。

中高年者の採用面接はただでさえ、他にも越えなければならないハードルがいろいろとあるし、競争者も多い。

後で、面接をした人が、複数の候補者の中から誰かを選ぶときに、「あの人は、なんだか前の会社の悪口ばっかり言っていたなぁ」、とまず第一印象で思い出されてしまうような場合、採用される可能性が高いとあなたは思うだろうか?そして、あなたが面接官の立場だったら、そういう人を積極的に採用したいと思うだろうか?


「自分はそんな愚かなミスをしない」と思ってる人、それは結構なことだ。

ただ定番である「どうして前の会社をお辞めになったのですか。」という質問を糸口に、やりとりをしている最中に自分の中の前職の会社に対する鬱屈した感情が、ココロの裂け目から思わずあふれだすケースも多い。

気がついてみたら、「前の会社はいかにひどかったか。自分がいかに正しかったか。自分は犠牲者だった。」といった内容の独演会になってしまうケースが、私が面接してきた中にも実際、いくつもあった。


面接にのぞむ前は十分用心していても、面接が進む中で時間も経ってくると感情がほぐれてきて、つい本当の気持ちを生のまま露呈し、面接官にぶつけてしまいがちになるものだ。

あるいは面接官の方でも、応募者のむき出しの感情の一面がどんなものかを見るために、相槌をやたら打つなどして、応募者の感情が高ぶる方向にわざと誘導する場合だってある。

面接官も、良い人材を採用しようと真剣であればあるほど、あなたという候補者を、ひとつでも多くの面から見ようとして、いろいろな確度から質問の矢を投げてくるものである。


本当は採用面接のみならず、少なくとも入社後の試用期間中くらいは、前の会社の悪口などまくし立てたりしないほうがよい。

どうしても言いたければ、会社とは全く関係のない友人に、酒の席などでごくたまにグチを聞いてもらう程度にしておくことだ。

ストレスを発散することそのものは、別段悪くない。むしろ自分の内に溜め込まないよう悪口を言ってストレスを発散するのは、ある意味で人間の生理にそっている行為だし、それでスッキリするならガンガン「口撃」するのも、たまにはよいだろう。


ただし聞かせる場所と相手だけは選びなさい、ということである。

意識的にせよ無意識にせよ、それを採用面接の場でやってしまっては明らかにあなたにとってはマズイ方向に働きますよ、ということなのだ。


余談だが、世間には「悪口の言い方が上手な人」が確かに存在するようだ。

テレビなどでそういったコメンテーターや芸能人をみているとただただ感心するばかりだが、どうも練習量と場数がずいぶんと必要な所業のようにも思える。

やはり私やあなたのような素人は、うかつにマネをしないほうがよさそうだ(笑)。



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