退職後、加入していた厚生年金・厚生年金基金はどうなる。
あなたが、勤めていた会社を、退職したとする。
これまで会社の厚生年金に加入していて(月々の給料から、国民年金分と共に天引きされていたはずだ)、退職後は国民年金だけの加入になるような場合、これまで払ってきた厚生年金は一体どうなるのか、疑問に思ったことはないだろうか。
退職によって、これまで支払った分はすべて無駄になってしまうのだろうか?
結論から言えば、これまで払ってきた厚生年金が、無駄になることはない。
会社で厚生年金に加入していれば、「老齢厚生年金」をもらうことができるからだ。
ただし、国民年金に加入し、受給資格期間である「公的年金加入25年以上」という要件を
満たさなければならない。
呼び名を整理しておこう。
受給資格要件を満たした国民年金の加入者が受け取る年金は、「老齢基礎年金」と呼ばれ、
名称こそ違えど、平たく言えば「国民年金そのもの」である。
厚生年金の加入者は、自動的に国民年金にも加入している。
したがって、「老齢基礎年金(国民年金)」にプラスする形で、「老齢厚生年金」を受け取ることが
できる。
サラリーマンが会社を退職した後は、自らが属する「第2号被保険者」から、自営業者や失業者が属する「第1号被保険者」への、被保険者の切り替え手続きを、住所地の市役所にいって、
「自分で」行わなければならない。
(そしてご存知のとおり、その後は「第1号被保険者」として、全額を自分自身で支払うことになる
わけだが)
「老齢厚生年金」は、「老齢基礎年金」の支給要件、すなわち受給資格期間となる「公的年金加入
25年以上」という要件を満たしていれば、もらうことができる。
もらえる金額は被保険者期間などを加味した、一定の計算式によることになる。
そうなると、原則として65歳から、老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金をダブルで受給することができ、今まで納めた厚生年金保険の保険料が無駄にはならないわけだ。
だから、「老齢基礎年金」の支給要件となる「公的年金加入25年以上」だけは、何が何でも満たす必要がある。
年金制度が破綻するかもしれないなどと、メディアの騒ぎにのって払うのを止めてしまったり、
切替えの手続きをせずにほったらかしにしたりすることが、もっとも愚かなことであり、その場合
数十年後に泣きをみるのは、自分だ(年金掛金の支払だけは続ける。 のコラムも、あわせて
読んで欲しい)。
この「老齢厚生年金」を受け取るには、「老齢基礎年金」と同様、やはり本人(自分)からの手続きが必要になる。
受給年齢になると、自動的に年金を受け取れるようになるわけではないので注意しよう。
社会保険事務所に「裁定請求書」という書類を、提出する必要がある。
さて、もうひとつ忘れられがちなものに、勤めていた企業に「厚生年金基金」があった場合で、
老齢厚生年金の報酬比例部分を国にかわって運用することから得られる、「老齢厚生年金の
上乗せ部分」がある場合がある。
これは、厚生年金基金から支給されるものだ。
基金のある会社に10年(ないし15年)以上の長きに渡り勤めた場合は、加入していたその会社の厚生年金基金に、また勤務年数が10年未満で転職してその基金を中途脱退したり、あるいは企業が廃業してその企業の厚生年金基金が解散した場合には、「企業年金連合会」に請求することになる。
中途脱退の場合でも、その企業での厚生年金基金の加入期間が一ヶ月以上あれば支給される。
また注意すべき点だが、この「老齢厚生年金の上乗せ部分」は、国の年金の受給資格となる
「公的年金加入25年以上」に関わりなく、支払われるのだ。
ただし、受給開始年齢は人によって異なるが、60歳-65歳からとなる。
しかしなんと、60歳になっても、この制度にもとづいて請求していない人は124万人、未払い金の総額は、1544億円にも達するそうである。
その最たる理由は、この制度も公的年金と同様に、自ら申請しなければ支給されないという
「申請主義」をとっていることだ。
これは、自分がもらえるということに気づいていない人などが相当に多いためと、推測されている。
お役所は、「受給資格ができましたよ」と先回りして親切に教えてくれるわけでもないし(60歳前に一度、通知はしてくれるが)、あなたの転居先まで追いかけて教えてくれるわけでもない。
この制度は幸いにして、時効が設けられていないので、いつであってもきちんと記録を確認して
申請さえすれば、受給することができるはずだ。
見逃していた人は、この際、再度確認しておくようにしよう。
まずは企業年金連合会のこの解説ページを参照して、自分の場合はどのケースにあたるのかを、チェックして欲しい。
具体的に確認したい方は、ここに電話で問い合わせてみるのもよいだろう。