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中高年の就職に、統計・データは無関係(2)。


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中高年の就職に、統計・データは無関係(1)。からの続きです。

偏差値など試験のスコアを中心に判断する大学・高校の受験ならば、競争率が厳しいからがんばれ、という言い方になるのはわかる。

しかし「ある特定の会社」が「自分の会社にあった人を採用しようとする」行為について、客観的に有効であるとして示せるデータは、本質的には何もないはずなのだ。

共通するルール・暗黙の約束事などは、何もない。ただ「その会社に採用されるかされないか」という、事実が残るのみである。

歌ではないが、会社が求めるのはその会社にあった「オンリーワン」であって、彼らは数多くの候補者の中で最も優秀とみなされる「ナンバーワン」を選ぶ作業をしているわけではない。ここは間違えないように、意識しておく必要がある。


たとえば、中高年の求職者で自分にアピールできるものがないから…などといって、履歴書でアピールできる項目として書き込めるよう、今からコツコツと資格の勉強にはげむ人がいる。

別に止めろとはいわないし、ただ遊んで時間を消費するよりははるかに尊い行為だ。


しかしそもそも論でいえば、「就職のために資格をとろうとする行為」は、こと求職活動に限って言えばしょせん「ナンバーワンを志向する発想、職を求める側の発想」である。

他の同じような資格保有者と、自らを同列に立たせようという考え方であり、採用する側が関心を持って見ようする世界からは、本質的にズレているのだ。

中高年の求職者が就職のために資格をとろうと考えることは、「オンリーワン」を求める採用側の発想に直接近づく行為とはならない大きな回り道となってしまっていることに、気づいてほしい(資格については、資格は、中高年の就職の武器としては弱い(1)。も読んでみて下さい)。


求職者であるあなたが就職したい会社に対峙したときに、真っ先に考えるべきは、「その会社にとって、あなたがオンリーワンとなりうる人物かどうか」ということ、そして「あなたにとっても、その会社がオンリーワンとなりうるかどうか」、ということである。

求職にあたっては全力でその会社を調べ、「その会社にとって、あなたが必要だということをわかってもらうためには、どうしたらよいか」を、戦略の中心に据えて考えるべきだ。


必死になって「その会社だけ」を見つめるまでに、自分の気持ちを高めることこそが、何よりも必要だ。

そこまで応募したい会社への思いが募るようになるためには、その会社のことを事前に相当調べるくらいでなければダメだろう。

そうなると、転職・再就職が第一目的であるならば、時間を資格試験の勉強にあてるよりは、むしろ企業調査に充てるべきではないだろうか。


「あなたにとって、その会社がオンリーワンとなりうるかどうか」という視点を持つことも、とても大切だと思う。

事前の調査が不十分なまま、せっかく転職・再就職を果たしたのに結局は一年ももたず自己都合退職…となる事例だって、現実には本当に多いのだ。

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双方にとって著しい人的・経済的資源のムダ、ひいては社会的損失であることがよくわかっているはずなのに、止むこともなく繰り返される光景。

「オンリーワン」を求めることは、採用側にとっても求職側にとってもそれくらい難しい。

(余談だが、もちろん「オンリーワン」を最初から採用するつもりのない企業も、世の中には掃いて捨てるほどある。「別にあなたでなくともよい」「代わりはいくらでもいる」と平気でのたまうような会社で、離職率が異常に高く、定着率は異常に低い。そんなところには最初から近づかないほうが無難、というのが唯一のアドバイスだ。)


さて「競争に勝ち抜く視点」、すなわち「ナンバーワンになるにはどうしたらいいか」という方法論を教えようとする、あなたや会社にとって第三者であるはずの就職コンサルティング会社・就職コンサルタントが、本質的に解決できる類の問題ではないことは、自覚しておいいて損はない。

誤解のないように言っておくと、それらの中高年専門の就職コンサルティング会社やコンサルタントを利用するな、とまでは言わないし、また利用するのが無駄だと言うつもりもない。

第三者である彼らが、本質的な解決策を提示できる性質の問題ではない」ということを心によく刻んだうえで、利用すべき部分を自らの判断で選り抜いたうえで使っていくことが大切だ、と言いたいのだ。



彼らが自社の強みとして示す「採用実績」などのデータは、しょせんは他人のケース、過去にあった個々に事情の異なる成功事例の足しこみに過ぎない。

あなたの置かれたケースにおいて、あなたが同じように成功事例へと分類される根拠など、初めからどこにもないのだ。


ちなみに彼ら商売する側も、「自己責任」という言葉を使いながら、同じようなことをよく言う。しかし彼らは単に商売上の最終責任を負いたくないから、そう言っているにすぎない。

あなたが「自己責任でやるのだ」と自らに言い聞かせるとき、彼らが口にする以上の、もっともっと厳しい覚悟を持つ必要があるだろう。


最後にもう一度、繰り返しておこう。

現在、世間で流通する中高年の就職活動関連のデータや統計などに、いくら厳しい数字が踊っていようとも、直接的にはあなたのケースと何の関係もない。

今あなたが直面しているのは、本質的にはあなたと、あなたが応募しようとしている会社が、「一対一で向き合うべき世界」なのだ。


ただその会社のこと、そしてその会社にコミットしようとするあなたの状況・あなたの人生をよく見つめ、一期一会という思いで決断を下していく覚悟を、あなた自身が持つことこそが大切なのだ。

その会社への思いが深く強くなるよう、その会社のことを手を尽くして事前によく調べることこそ、求職活動を続ける今のあなたにとって本当に大切なことではないだろうか。



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