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中高年の就職に、統計・データは無関係(1)。


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大手企業が派遣切りと正社員減らしの手をゆるめない中、我々中高年の転職・就職市場も、明るい話などが聞こえてきそうな気配はない。

中高年の転職・再就職の先行きの厳しさにいたってはいまや常識となっており、やれ応募倍率が何百倍だの、有効求人倍率が0.×倍だのと、不景気なデータ・統計をメディアから拾いあげるにも事欠かない状況だ。

しかし就職活動をしているあなたは、実のところ、他の就職者と直接に競争をしているわけではないだろう。

第三者から見れば、一見すると競争のように見えるものの、採用する側だって他の候補者と能力の優劣を競わせるだけで選考し、採用しているわけではない。

競争倍率が高い低いは、あくまで「第三者からみた分析」に属する話だ。

求職者がまず力を注ぐべきは、「入社したい会社を見つめた、応募に関わる行為」であって、中高年の転職・就職市場の分析ではない。これはある意味、当たり前のことである。

しかしこの順番を逆にして、自分の応募したい会社の研究をそっちのけに、「中高年のための転職セミナー」などにせっせと通っている中高年の求職者は、意外に多いものだ。


採用側としては、あくまで「自分の会社で働いてもらうとして、もっとも会社に貢献してもらえそうな人、そして職場における適性がありそうな人」を、応募者の中から選ぼうとしているわけであるから(コネ入社など、中には例外もあるだろうが)、仮に個々の能力を個別に比較した場合には、最終的に採用された者よりも落選者の方がはるかに優れているケースなどいくらでもあるはずである。

私も採用面接に関わっていた会社員時代、申し訳ない気もするが、自分よりはるかに実務能力が長けていそうな人をずいぶんと「落選」させたものだ(笑)。自分が退職してその人を後任に推すほど、人間も出来ていなかったが…。

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一方で応募しようとする側だって、他の第三者との優劣を比較してアピールしたくとも、しょせんは「これから応募する会社が、好ましいと思うんじゃないか」と自らが想定するアピールポイントに沿って、自己PRをしているにすぎない。

他の応募者との並列比較は、物理的には、採用する会社側しかできない行為であるから、応募者があまり他の候補者を意識して思い悩んでもこれは仕方のない話なのだ。

結局つきつめていえば、あなたが狙う職種に他に何百人の応募があろうとも、その結果として競争倍率が何百倍となろうとも、そのこと自体はあなたの応募と本質的には関係ない話である。

要するに「あなたが、その会社の採用ニーズに最もフィットするか否か」だけが問題で、その意味では「会社対あなた」という、一対一の関係で考えるべきことだ。


たとえで言えばあなたは、「ジグゾーパズルの一ピース」のようなものだ。

他に何千個の似た形のピースがあるにせよ、その場所にピタッとフィットするものはひとつだけであり、あなたにとって問題なのは「あなたという一ピース」がそこにピタッとフィットするかどうか、ということだけだ。

他のピースと形が似ているとか違っているかなどを論じても、大して意味はない。

しかしながら今この瞬間も、自分が就職した「会社」というジグゾーパズルにピタッとフィットしなかったがために、自分が快適に収まることのできる「パズル」を求めた転職者・求職者という「パズルのピース」が、世間にはあふれているのであるが。


そこに市場を見出した”中高年の転職を支援する”と謳う転職コンサルタントや業者は、「こうすれば採用される確率が高まる」と喧伝し、履歴書の書き方から面接突破の方法、様々なテクニックやアプローチ法まで、事細かに伝授してくれている。

彼らだって長い経験にもとづいた商売でやっているわけだから、確かに個々のノウハウを見ると、なるほどと思わされるものも多い。

またそういったことをしなければ、この中高年転職の厳しいご時世、とても厳しい競争を勝ち抜けるものではないと、求職者の危機感をことさらに煽りたててくる。

彼ら第三者が、そこまであなたを煽り立てるよすがとなっているのは、冒頭でも少し触れた世間に流通する数々の「中高年の転職・就職関連のデータ・統計」なのである。


長くなりましたので、続きは中高年の就職に、統計・データは無関係(2)。で。



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