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年金掛金の支払だけは続ける。


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年金財政の問題が世間的にいろいろ騒がれてはいるが、いくら目先が苦しかろうと、マスコミのあおり報道に踊らされて支払滞納を続けたり自分から支払を止めてしまって、みすみす受給資格を失ってしまうような愚かしい真似を、あなたは絶対にしてはならない。

中高年のあなたは今でさえ現実が厳しいのに、将来さらに体力が衰えた段階で、年金すら無くして一体どうやって生活していくつもりなのか。


年金の受給金額の将来的な切り下げは、現下の経済状況を見るかぎり、その程度はわからないがおそらく避けがたいだろう。

しかし「手取り金額の減少」と、「受給資格を無くして一銭も受け取れなくなること」とは、まったく意味合いが違うのだ。

日本が国家的財政危機に直面しており、年金財政も厳しいのは事実であるが、まともな国家である以上、全額の踏み倒しなどはありえないことだ。

支給額の減額だって一定ラインで踏みとどまらなければ、時の政府が倒れ国が混乱するだけなので、そもそもそう無茶なことは国家構造的にもできないのだ。


特に年金は計算の仕方にもよるが、いまの民間では太刀打ちできそうなまともな金融商品がちょっと見当たらない、「高利回り商品」である( 公的年金制度の役割 3-(3) 公的年金5つのメリット(日本年金機構))。

民間企業ならば倒産などのリスクに常にさらされるが、年金なら掛金の払込先は国であるし、国家破産という究極的な状況を脇に置くならば、現在の日本でもっとも安全な預け先であることに疑いはない。

年金のことを調べる(日本年金機構)

年金記録漏れの騒動を経て、今後は国も一層アバウトなマネをしづらくなるだろう。さらに将来的なリスクがひとつ、減ったことにもなるではないか。

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周知のとおり、日本の年金は「賦課方式」というスタイルで運営されている。これはそのときの現役世代が支払う保険料を原資にした給付で、同時代を生きる高齢者の年金を直接支えるスタイルだ。

少子高齢化が進む中、将来は働き手が減って受け取る年金額も減ることが懸念されているのは事実だが、いかんせん数十年後に経済状況や金銭価値がどうなっているかなど、その時になってみなければわからないのだ。

つまり「将来いくら受け取れるか」よりも、「受け取った額で、その時点の生活がどの程度成り立ちそうか」の問題ということになる。


民間の年金保険商品は皆、将来に備えて貯金するように積み立てる「積立方式」だが、これは経済状況の変化に振り回されやすいという弱点がある。いざ受給し始めてみると、これまで予想しながら積み立ててきた額ではとうてい足りなかった…という危険性が高い、ということだ。


むろん、先のことなど誰もわからない。ハイパーインフレになっているかもしれないし、底なしのデフレ不況になっているかもしれない。そのときの人口や経済状況等に応じて年金財政の収支ももちろん変わっているはずだが、時の政治に左右されず、しかも財源とバランスするよう自動的に給付が調整される「マクロ経済スライド」という仕組みも、すでに2004年度から組み込まれている。

マクロ経済スライドってなに?(厚生労働省)

年金を受給する時の経済状況からかけ離れた給付水準にならないようにするための安全装置のようなものだが、仮にあなたが現状の年金制度を信頼しないとして、これ以上の精度を持って将来に備えるための仕組みを、果たして自分で見つけてくることができるだろうか?

高齢者の平均余命も全体にどんどん伸びる中で、どれだけ高利回りの民間金融商品で上手に運用できたにせよ、寿命が尽きるまで貯蓄だけで対応するのがまず不可能なことは、火を見るより明らかである。受け取る側の我々としては、「年金だけでは足りない」リスクと「年金無しで生活する」リスクを、絶対に混同してはいけないということだ。


諸々このように考えると、間違っても受給要件を失うことのないよう、それを満たすための年金掛金だけは、なんとしてもちゃんと払っておくべきだ。

原則「60歳まで25年以上の保険料納付」という国民年金の受給要件は、なんとしても満たしておく必要がある。

この受給条件を満たさなければ、国民年金(過去の厚生年金も)は一円ももらえず、サラリーマン時代に天引きされていた分が、まるまる払い損になってしまう。

いずれは必ずあなたの生活の礎として、活きてくるお金であることは確実なのだから。


失職して一時的に苦しいときなどは、保険料の免除制度、一部納付(猶予)制度も用意されているので、社会保険事務所に問い合わせて、使えるかどうかを調べてみよう。

加えて、10年以内であれば免除を受けた期間内の保険料を後から納めることができる「追納制度」も用意されている(多少の加算金は付くが)。


手続きを踏まない「単なる未納」だと、後から追納できるおカネが作れたとしても、さかのぼって納められる期間は同じく10年間に限られる(2010年4月に国民年金法が改正され、追納期間がそれまでの2年から10年に延長された)。

ただし問題なく支払っている人とのバランスをとるため、2年を超える追納分には加算金(利息)が発生することになる。以下に、該当する日本年金機構のホームページを掲載しておく。

国民年金保険料の後納制度(日本年金機構)
保険料を納めることが、経済的に難しいとき(日本年金機構)


自分で調べて、尋ねて、申請しないと、たとえ便利な制度が用意されていたとしても「宝の持ち腐れ」になってしまうのだ。



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