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資格は、中高年の就職の武器としては弱い(1)。


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世の中には「私は何の資格も持っていないので、転職や再就職には不利だと思う。会社を辞めたので時間もできたことですし、資格を取ろうと予備校に通っています。」という人が、非常に多くいるようである。

まず「その心意気たるやよし」ということは、最初に言っておきたい。

空き時間をテレビをみてボーッと過ごしたり、パチンコでつぶしたりなどという時間の使い方よりは、当然ながらはるかに有意義だ。

それに仮に試験に合格せず資格を得られなかったにせよ、人生の一時の間精魂込めて勉強した日々は、ある種の資産として自分の内に残るものである。

私も「資格をとりにいく」ことそのものが、性格的にも好きだった。これまで取得しようと思った資格は、10個では済まなかったように思う。

これまでとった資格は、行政書士や宅建・簿記やTOEIC・ビジネス実務法務といった、文科系の就職に役立つといわれる定番モノである。

一方で米国公認会計士や税理士といった資格は、一年ほど勉強して一部科目合格したものもあったが、最終的に資格として取ることができなかった。


サラリーマン時代を振り返ってみて、その当時勉強したことが仕事の端々でそれなりに自分の血肉になっていることを自覚する瞬間は、多かったように思う。

それらの資格試験合格のため百万単位で資金も投じ、結局合格できなかったものの、それなりに自分の実となっているという自覚があるためか、未だ後悔はしていない。

ということで、私自身が資格好きな性格ということもあるのだが、中高年になっても自分の価値を高めようと資格試験の勉強にいそしむ人にはどちらかといえばシンパシーを感じるし、応援もしたくなるほうである。

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しかしその気持ちを横においてあえて言えば、中高年の求職者として、転職や再就職を果たすことを目的に資格をとりにいくのであれば、少なくとも今日の就職事情においては遠回りとならざるを得ないということは、この際はっきりと言っておかねばならない。

もしあなたの目指す資格が、「それが無いと仕事自体をすることができない」種類のもので、あなたがどうしてもその仕事につきたい場合だけが、唯一の例外になると思う。

俗に言う「士業」、弁護士・弁理士・税理士・社会保険労務士、他には医師などもそうだろう。これらの職業につきたい場合はそもそも資格がないと仕事ができないのだから、是非もない。

もっとも中高年からこれらの資格を目指す場合、いわゆる費用対効果だけは考えておいたほうがよいとは思うが。


一説では資格合格のためトータルに費やす時間の目安として、弁護士は2万時間、公認会計士で7,000時間、税理士6,000時間、社会保険労務士で1,200時間位だそうだ。

一念発起して弁護士を今から目指すなら、一日10時間勉強して5年ちょっとかかる計算である。

もっとも司法試験は制度改革もあったことだし、もう少しハードルは下がっているかもしれない。それにしても、いわゆる「やさしくなった司法試験」を通過した人たちに、弁護士となった後の仕事がどの程度用意されているものだろうか…。


最近の報道によれば、かつての花型資格を苦労して取得したにも関わらず、仕事が回ってこずに厳しい経済状況に置かれている弁護士も少なくないと聞く。

新制度で弁護士になった人たちの顧客獲得の営業は少ないパイの奪い合い競争となり、開業後もそれなりに大変になるであろうことは容易に想像できる。


大型資格の取得に中高年以降の人生を賭すのなら、よくよく考えて決断しなければならない時代ということなのだろう。

資格は、中高年の就職の武器としては弱い(2)。に続きます。



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