「一定の生活リズムとスタイル」を、つくる効用。
これまでは前日どんなに寝不足であろうとも眠い目をこすり、また酷暑だろうと雨だろうとネクタイを締めて満員電車に乗り、毎日会社へと向かっていた。
イヤでたまらなかった人もいるだろうし、なんとなくなつかしく思い返している人もひょっとしたらいるかもしれないが、少なくともそこには一定の「生活のリズム」というものがあったはずだ。
人間のカラダというものは存外、リズムを大切にする。「体内時計は25時間」という話を聞いたことがある人も、多いだろう(参考まで、これも読んで欲しい)。
サラリーマンでいるうちは、あなたの意向に関わりなく、半ば強制的にこの一定のリズムが、あなたの生活スケジュールとして組み込まれていた。
朝になれば否応なく会社に向かう道で太陽の光を浴び、満員電車の中で苦しい姿勢で朝刊を読むことにより、大脳も活動を始めていた。
駅から会社まで歩く道のりはちょっとした運動にもなったし、会社で多くの同僚と会話をしながら、今日一日の仕事にあけくれる準備を意識せずともしていたわけだ。
さて、もし今のあなたが転職・再就職活動中にあって、これらの半強制的な「通勤という習慣」から解き放たれている状態にあるのなら、次週のはじめからでも、今の状況下における一定の生活リズムを自分なりに設計し、基本的にそれに従って日々生活していくことをオススメしたい。
「せっかく、強制のない自由な日々を手に入れたのに…」と思われるかもしれないが、自分に24時間を好きなように管理させるとたいていの人間は、ダラダラと緊張感の乏しい、自らにとって楽でルーズな方向に流れていく。
夜は酒を飲んで寝たいだけ寝て、好きな時間に起きてゴロゴロ…という生活をしていると、腹回りの肉はだぶつく一方、顔つきまでだらしなくなってゆく。
ネクタイの締め方を忘れたり、久しぶりにはいてみたスラックスのベルトの穴がひとつ緩めないと入らなくなっていたりしたら、強烈な危険信号がでていると思っておいたほうがいい(さぁ、今すぐネクタイとスーツ・ベルトを持ってきて、試してみるといい)。
私たちはたぶん、経済的心配の一切無いすべての時間が自分の自由になるような満ち足りた生活をイメージし、心の奥底で追い求めているのだろう。
しかしおそらく「人の生活」というものは、なにがしかの「苦痛」と「強制」、「心配・不安」と「我慢」といったスパイスを効かせないことには、感受性や神経が鈍ってしまい、後で思い出せないくらいのっぺりと起伏の乏しい、怠惰と惰性の日々に流れてしまいがちなものなのだ。
「喜び」や「楽しみ」を、細胞から感じ取って味わうことのできないカラダになってしまってからでは、のちのちその矯正に、ひどく苦労することになるだろう。
というかそれほど遠くない時期、おそらくは再就職が成功して新しい会社に出社した時に、そのことを強く感じるはずだ。「あぁ、自分はすっかり浦島太郎になってしまっている…」と。
社会復帰(笑)する時期は人によってそれぞれだろうが、たとえそれがずっと先のことになろうとも、その時点ですぐに新環境に対応できるようになるため今すぐにでも、出来ることがある。
つまり「生活のリズムとスタイルをつくって、日々暮らすこと」だ。
身構えずとも、まずは下記に掲げるいくつかでも行うよう心がけるだけでよい。
慣れてきたら自分なりにアレンジして、工夫を加えていくようにすることだ。そして最終的に、「あなたなりの生活スタイル」というものを確立するのだ。
・就寝時間と起床時間を、一定にする。
毎日の起きる時間と寝る時間がバラバラでは、全然ダメだ。特に寝る時間が多少前後しても、朝起きる時間はできるだけ同じ時刻を保つことが、生活のリズム形成のためには、非常に大事なこととされている。
寝不足の時は10~30分でも昼寝や仮眠をして、後で補うこと。
最初のうちはメモや日記に起床時間と就寝時間をつけておいて、時々意識してチェックしてみるとよいだろう。
そして起きたらコップ一杯の水を飲んで、寝ている間に失われた水分補給をする(寝ているだけで、300~500ml程度の水分が失われている)。そして窓を開け、太陽の光に体をさらすこと。
これらのことも朝の決まりごととして、必ずやったほうがよい。
・週一日のうち、必ず一定の運動時間を設ける。
運動といっても、ハードなものは不要だ。散歩くらいに考えておくとよい。
家に何日もこもりきり、ではダメだ。たまには、食事のおかずを買いにスーパーに行き、遠回りをして戻ってくる。犬を飼っているなら、その散歩の距離を伸ばしてみる。
自分なりの工夫をして、運動のためだけに一日数十分の時間を「捨てる」覚悟が必要だ(「捨てる」といっても、健康維持に役立つ以上は立派な「投資」であるとも言えるかもしれない。いずれにせよ、決して無駄な時間にはならない)。
・「×日は、××をする日」というのを、いくつかは約束事として決めておく。
自分なりのイベントをいくつか、一週間のスケジュールに組み込んでおく。
資格試験や語学などの習い事や、再就職活動のための調査・学習の日などを、曜日・時間帯まであらかじめ決めておくとよいだろう。
そして、決めたスケジュールの開始時間と終了時間をできるだけ守るようにして、それらを習慣化していくことだ。
・週に一度、体重をチェックして記録する。
体重は、健康のバロメーターだ。増加傾向にあるなら、間違いなく運動不足のはずだ。何かしらの運動を生活スケジュールに組み込まねばならない。
・毎日ちゃんと、鏡をみる。
鏡で表情を毎日見ることは、特に男性諸氏にすすめたい。一般に中高年の男性は、とにかく鏡を見なさすぎる。
表情のはり・皮膚のつや・あごの肉のたるみなどを鏡の前でチェックして、笑ったり口を大きく開いたりすることで、顔の表情筋を意図的に動かす練習もすることだ。
気をつけないと、能面のような感情の起伏のないサビシイ顔つきにがく然とする日が、いずれやってくることになる。
・スケジュールは余裕を持たせ、一週間の中に必ず「遊び」の日も持たせる。
毎日、判で押したように同じスケジュールを繰りかえせ、と言うつもりはない。第一、それではとても続かない(笑)。
サラリーマンが土日に休むが如く、週に一日か二日は制約をとりはらって、自分の好きなようにする日を意識して設けるとよいだろう。
好きなように過ごす息抜きの日があると、逆に他の様々な制約を自分に課した日々が際立って活きてくるのだ。
ひとつアドバイスするなら、安息日はできるだけ土日以外にしたほうがいい。
土日に自分を解放しないことによって、自分がサラリーマンと違う立場にあることを何かと意識できることが、理由のひとつ。
そしてもうひとつの理由は、平日の人の少ないときに休むほうがなにかとメリットが多く、休日を満喫できるチャンスが増すことだ。
特に最近のGWや年末など、行楽施設や観光地の混雑ぶりが尋常でないのはご存知のとおり。お父さん世代がとてもリラックスできる状況にはない。
それに比べてウィークディは割引などやっている娯楽施設もたくさんあるし、平日のガラガラのスパや温泉でくつろぐのも特権的な気分になれて(笑)、なかなか悪くない。
生活リズムづくりにあたって、心がけたいことを以上まとめてみた。
日々の生活がなんらかの規律に維持されていることを自覚することは、人間の本能に即した行為であるためか、意外と心地よいものだ。
サラリーマン社会はそういう本能を利用して形成されたものかもしれない…と、たまに思うほどだ。
さて来週のはじめからスタートできるよう、どういう生活リズムにしていくか、さっそく今晩からでも色々とプランを練ってみてはいかがだろうか?
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