「当面の経済的不安」に立ち向かう。(2)
金銭的不安に直面しているあなたがやったほうがよい、二つのこと。
ひとつは、「現時点のあなたの資力の、洗い出し」である。
早い話、今の生活水準を維持するとしたら、現在のあなたの資力で、どれくらいの期間持ちそうかを調べるということだ。
何ヶ月くらい大丈夫そうか、あるいは一年以上OKか。
その期間が短い場合は期間を延ばすため、生活水準をある程度落とさざるを得ないかもしれない。
では実行可能な範囲で生活水準を落とした場合には、どれくらいその延長が可能なのか。そういうこともあわせて、シミュレートしていく。
そしてもうひとつは、「あなたが予定する今後の収入と、支出の計画」だ。
特に支出は、居住費や住民税のような「絶対に避けられない支出」と、食費や教養娯楽費のように「節約や使用中止によって抑制可能な支出」の、少なくとも二通りくらいに分けておくことだ。
その結果、「毎月×万円程度の赤字は、まず絶対発生しそうだ」とか、ある程度問題の所在が明らかになってきたら、次にその問題の解決を当面の「わが家の最重要経済問題」に据え置いて、考えるようにする。
赤字の先送りは可能なのか、借入によってある程度返済金額を平準化していけるか、マイカーを売ればある程度補填できるかなどと考え、現状から出発した案をいくつか出すことができるだろう。
理屈の上では、当面の金銭的問題の手当てのメドがたちさえすれば、あとはあなたが全力でとりくむべき問題を「現在の仕事がない状態を、いかに仕事のある状態にもってくるか」というただ一点に、絞りこむことができるはずだ。
「結局職探しにつきるんだろう、同じじゃないか」と思った方。それを、思考停止状態というのだ。
自分自身が有限なエネルギー補給によって支えられている、疲れやすい生身の肉体であることを、あなたはすっかり忘れているのではないか。
ましてあなたはストレスに今この瞬間さらされ、体力的にも昔ほどの自信がなくなりつつある、中高年世代ではないか。
たくさんの不安と問題をかかえたまま日々をすごすことに比べて、問題の所在を明らかにしたうえで、解決すべきことを「職を得ること」の一点に絞り込んだ場合、あなたが感じるエネルギーのロスと精神的ストレス・肉体的な疲れがどれほど軽減されることか。
いまのあなたは、新しく病気を背負い込んで寝込んでいる余裕はないはずだ。
人間は弱い面をもっていて、実に多くの人が不安に直面したときに現実から目をそむけてしまい、思考停止状態に陥ってしまう。
黙って固まっていれば助けてくれて、すべてを解決してくれる誰かがあなたのそばにいるなら、それもいいだろう。
人は、そんなに強いものじゃないし、助けてもらえる立場なら、素直に助けてもらうのも悪くないと思うから。
(ちなみに2015年4月からは、「生活困窮者自立支援制度」という就労・家計・住居等についての専門家によるワンストップの相談窓口が、行政の支援機関として設けられることになった。
相談相手が欲しい方は、ぜひ利用したいところだ。詳しくは生活困窮者自立支援制度(2015年4月開始)の概要。を参照のこと。)
しかし、もし当面誰も助けてくれそうになくて、むしろあなたにとって支えるべき家族や大切な人がいるなら、あなたは、いま固まっていてはダメだ。あなたは気力を振るって、再び動き出さなければならない。
どうして今の状態に至ったのかという過去は、分析の必要なんかない。
しかし「現状とこれからの予測」は、あなたとあなたの大切な人のために、目をそらさず具体的に分析しておかなければならないのだ。
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