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企業の求人広告、真の意図を読みにいく。


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あなたは今、求人広告や就職情報誌をみて、せっせと履歴書・職務経歴書作りにはげんでいるのかもしれない。

そのような気概に水を注すようで申し訳ないが、あなたがその履歴書作りに費やした時間は、ひょっとしたらまったく「無駄な行為」、徒労というヤツであるかもしれないのだ。


いや、怒らないでほしい。「応募してみなければ、なにも始まらない」とか、「1件でも多く応募することが採用につながると教わった」とか、反論したいことについては大方わかるつもりだ。

私が上で「無駄」と言ったのは、あなたが履歴書を書いて応募し、面接をきちんとすませたものの最終的に不採用となった、といった通常のケースを指しているのではない。


その場合は、チャレンジし選考を経た結果採用とならなかったという「一連のプロセスとその結末」の問題であって、そこにきちんと意味のある時間の使い方を見出すことができる。

たとえうまくいかなかったにせよ、先方の人事採用担当もあなたのために時間をとり、履歴書を読み、面接で質問をいくつもしてくれた。

双方が時間を費やした後に折り合わなかった場合、結果が残念であるにせよ、それを無駄な活動と呼ばないのはごく当然のことだ。


私が言いたいのは、「希望条件どおりの能力を持つ人や、年齢層で条件を満たす人がもし現れたとしても、本心では採用するつもりがないにもかかわらず求人広告を出しているとしか思えないケースが、現実によく存在する。少なくとも応募する側のあなたにとっては、そのような企業の求人に応募することは結果として時間の無駄になると言わざるを得ない。」ということなのだ。

採用するつもりがないくせに求人広告を出す企業などあるはずがない、と思われるだろうか?それがあながち、そうとも言えないのである。

もちろん企業側だって、口では「年齢にこだわらず、いい人がいれば、いつでも積極的に採用したい」くらいのリップサービスは、当然する。


ひとつ例をあげて説明しよう、こういうことだ。

ある管理部門の中堅社員が1名退職し、その補充として1名採用をかけることにした企業があるとする。彼の年齢が35歳だったとしよう。

そして、彼の直属の上司が37歳で、退職前に彼が面倒をみていた後輩社員が30歳だったとする。

この場合、その企業が真剣に採用を検討する年齢層というのはほぼ自動的に「32歳から35歳くらいの間で、なおかつ採用条件にかなう人材」に落ち着く、ということだ。暗黙の合意、というヤツである。

その分野に経験が豊富な40歳の応募者が採用される確率は、上司が年下であるこの場合、ほとんどゼロといってよい。

いかに能力的に優れていても、最終的には書類選考からはずされるだろう。


いや、むしろ37歳のその直属上司をしのぐくらい仕事が出来そうな人には来てもらっては困る、というのが本音かもしれない。

逆に若いからといって、いくら能力があっても20歳代が採用されることも、この場合はなさそうだ。

30歳の社員に新たな部下ができて負担が増えることになるし、残った二人の間にできるコミュニケーションギャップを吸収する存在がないことへの、恐れもあるからである。

このケースのように、「30歳の後輩社員と37歳の上司の間をつなぐ役割として最適な年齢の人物がもしいるならば、その場合にだけ一人補充しよう」くらいのハラで企業側が考えているくせに、希望より全然ゆるやかな条件の求人広告を出している…などというケースが実に多いのだ。


こういうケースでは、決まって「年齢不問」とするか、または「30歳から40歳位まで」と、本当の希望よりも年齢幅をずっと広くとって、広告を出す。

年齢差別の指摘を受けることを回避したいがためであろうし、ひょっとしたら思わぬ掘り出し物の人材が出てくるかも…との期待でも、抱いているのかもしれない。

いずれにしても、彼らは希望する対象以外の応募者層については、書類選考でどのようにもコントロールできる。そのような求人広告がでてくることを止める手段なぞ、ないのである。

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むろんこんな企業ばかりではないことも、申し添えておかなければならない。

本当に希望する年齢層と対象者が決まっている場合は、ちゃんとした企業なら、並行して専門の人材会社に個別に依頼をかけていることだろう。

しかし成功報酬の高さを嫌ってか、求人広告誌やハローワークに漫然と募集基準を緩めた広告を出し続けて、応募者がある程度集まってからちゃんと考えよう…といったアバウトな考えの会社も、実にたくさんあるのだ。


(ちなみに民間の求人広告では掲載内容イコール労働条件とはならないが、ハローワークの求人票はその公的性格から当事者が違う合意をしない限り、法的には記載内容がそのまま労働条件となると解釈されていることは、覚えておきたい。もっとも現実には、ハローワークの求人票に記載された賃金額と実際の賃金が異なるというクレームが、断トツに多いわけだが…)


では、こういった姿勢の企業を事前に見抜く方法はあるのだろうか?

結論から言えば、「ない」。求職者には、上で例に出したような企業側の個別の背景事情など知る由もないからだ。

しかし、100%防ぐことは出来ないが、そのような企業に対するあなたの「感度」を磨いていくことで、ろくに見られもしない履歴書を郵便代と手間をかけてやみくもに送りまくる愚を減らしていくことはできると思う。


そのためには、その求人広告だけを見ていてはダメだ。

たとえば、これまで買った古い求人情報誌も捨てずにとっておき、その企業がいつから求人広告を出しているのか、以前はどういう広告を出していたのかを調べてみる。

ネットで、その企業へ就職活動をした学生の口コミ評判などが書き込まれてはいないかをチェックしてみる。

その企業での業界のポジションや社風を調べるため、図書館で業界誌をめくってみる。

同業他社と同じような年齢層を求めているのか、またはその会社だけ採用対象層が明らかに異なるのか。

あるいは思い切って、補足で説明してほしいなどの理由をこしらえて、採用担当窓口に直接電話してみるのも一法かもしれない。

対外的にちゃんと説明できる採用理由があるなら、多少なりとも、まともな説明をしてくれるはずだ。そうではなく「とにかく履歴書を送れ」の一点張りなら、これは要注意だ。


自分なりに考えうる方法で調べ、その企業がとりそうな発想について、仮説を立ててみる。

その結果あなたのアンテナに何か引っかかるものがあるなら、その会社の応募を止め、その時間をほかの会社にアプローチに充当することをオススメしたい。

そのような場合、本当に「何かがある」ことが多いものである。

懸命に研ぎ澄ましたあなたのアンテナを、あなた自身は信じてあげることだ。



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